2007-04-12 Urticaria, Acute 定義: 掻痒を伴う一過性の膨疹[wheal,hives]。 症状が6週間を過ぎて持続する場合、Urticaria,Chronicと称される。*1 膨疹が固定され24時間以上持続する場合、蕁麻疹様血管炎や類天疱瘡を考える。 病態生理: 免疫介在性(immune-mediated)の蕁麻疹 肥満細胞や好塩基球細胞膜上のFc受容体に結合したIgEにリガンドが結合し、ヒスタミン等のケミカルメディエーターが放出されるⅠ型アレルギー。ヒスタミンはH1、H2受容体に結合。H1受容体の活性化は血液透過性の亢進を、H2受容体の活性化は血管拡張を引き起こす。 cytotoxic T細胞によるⅡ型アレルギーでも、反応過程で生ずる「副産物」が蕁麻疹を引き起こすことがある→蕁麻疹様血管炎、類天疱瘡 免疫複合体が介在するⅢ型アレルギーでも蕁麻疹はしばしば誘発される→SLE等膠原病、悪性腫瘍 免疫の介在しない蕁麻疹 直接、肥満細胞を脱顆粒させる*2薬品による→アスピリン他NSAID、アヘン類、抗生物質、造影剤。 原因物質が判明するのは半数以下(40〜50%)。 最近の報告によると、40%は上気道感染/ウイルス感染症、10%は鎮痛薬(薬剤性)、1%が食物不耐性による。 鑑別: 類天疱瘡 多型紅斑 マストサイトーシス 蕁麻疹様血管炎 診断・治療: 採血検査は不要。 個疹が24時間以上持続する場合や水疱形成を認めた場合、生検を行う。 鎮静作用の少ないH1抗ヒスタミン薬から始める。 難治性の場合、H1、H2抗ヒスタミン薬の併用がより有効である。 抗ヒスタミン薬に抵抗性の場合、ステロイドに反応することがある。 *1:日本の定義では4週間(1ヶ月)を過ぎた場合。 *2:細胞膜の性質を変化させるため、と考えられている